2000-07-13  急性心不全多発のなぞ

私の大学では,月に一度学内報が発行されます。学内報の最後のページには悔やみ欄が掲載されるのですが,その情報によると,ここ数か月間に二人の学生が死亡したそうです。死因はどちらも急性心不全。さて,悔やみ欄で「急性心不全」という病名を見たのは今回が初めてではありません。昨年からなぜか急性心不全で急死する学生が増えているのです。よっぽど鈍い人(俗にいう「ナイーブな人」)でなければもう気付いていると思いますが,本当の死因は急性心不全ではありません。どうも自殺が流行っているらしい。急性心不全というのは大人の都合で(世間体を配慮して)付けられた病名なのです。

大学全入学時代を迎え,だれもが大学に進学できるようになりました。ところが現実には,目的意識を持って大学に来ている人はごく一握りだと思われます。ほとんどの人は,ただなんとなく学校へ来ているものです。そしてなんとなく卒業していくのです。この流れになんとなく乗れなかった人は,なんとなく退学したり,なんとなく就職しなかったり,なんとなく死んでしまったりするようなのです。

私たちに課せられた任務は,このような社会問題を詳しく調べることによって,問題解決の手段を模索あるいは確立することです。現在私が提唱を進めている「世人モデル」には,死生観に関する見解がありません。そろそろ私も,死生観に言及しなければならない時期なのかもしれません。