2024-11-24  ルポ西成―仕事できへん奴はすぐに殺されるんや―

市内図書館で本を借りてきました。その本は國友公司著,「ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活」。著者が大阪西成区あいりん地区で体当たりの取材を決行し,そこで見聞きした出来事や人々の生き様を綴った体験記です。

この本の表紙には「書込/汚損あり」というシールが貼られていました。どんな汚れ方をしているのかと思って読んでいたら,蛍光ペンの引かれた箇所を見つけました。

仕事できへん奴はすぐに殺されるんや」というのは手配師(仕事を斡旋する人物)の発言です。著者があいりん労働福祉センターで仕事を探していると,数人の手配師から声を掛けられました。その際の手配師たちの押し問答。潜入取材,初日から2日目に掛けての出来事です。

蛍光ペンを引いた人が,この台詞を強調して後で何がしたかったのか不明なのですが,私が気になったのは蛍光ペンの引かれた箇所がこの一文だけだったことです。こういう人は,むやみやたらに色付けしていても不思議ではないのですが,そうではなかった。途中で読むのを止めたのかもしれません。

この本は妙に手垢で汚れていました。これまで私は図書館で本を何冊も借りていますが,ここまで小汚い本に当たったのは今回が初めて。よほど人気があるのか,碌に手も洗わずに本を読むような輩が手に取ったのか。でも,本の内容が内容なだけに本の汚れ具合が登場人物たちの境遇とぴったり合っている気がして面白く感じました。