1998-10-06  使ってみましたBTRON

B-right/Vを導入してみたのでBTRONの肌触りをレポートします。とはいえ,まだ8時間くらいしか使ってないから話半分で見てみてね。

【画像に関する諸事項】★原画像は,実際の実行画面をB-right/Vの画面印刷機能で実身に展開したものです。原画像は800x600 pels,16ビットハイカラーです。WEBページに掲載されている縮小画像は,原画像をリサイズ,グレイスケール化した後,階調数を4階調から16階調に調節してあります。縮小画像には,実サイズ画像へのハイパーリンクが張られています。実サイズ画像は原画像を256色以下に減色処理したものです。つまり実サイズ画像は原画像と同一でないことがあります。

カタログにありがちな画面。時計や電卓といったアクセサリを並べてみました。

BTRONの使い道

いきなり結論です。BTRONは知的生産や文化水準向上を目的としたOSです。WindowsやMacintoshに代表されるような快楽追求型OSとは志している世界が違います。現在のBTRONにはできないことが沢山あります。その代表例はピンク画像や違法な音楽データの収集や鑑賞です。これらをするためには,今のところWindowsやMacintoshといった快楽追求型OSを使う以外に選択肢はなさそうです。(あら事実を言ったまでよ。)

HDを再フォーマットしなくても導入できる

インストールのお話です。当初,HDを再フォーマットしないとB-right/Vが導入できないと思っていたのですが,便利なソフト(フリーウェアのFIPS.EXEや市販のディスクツール)を使うと,「すでに確保された領域を後から縮める」ということができます。この操作により,HDの再フォーマットをしなくても新たな領域が確保できます。その筋の人にとっては常識なのかもしれませんが,私は知らなかった。ちょっぴり得した気分です。

B-right/Vの「ディスク設定」はDOSの“FDISK.EXE”に相当するものです。

OSの起動時間がとても短い

噂どおりOSの起動時間は10秒も掛かりません。「玄関開けたらサトウのご飯」よりも圧巻です。

コントロールパネル=小物だった

画面の大きさやポインタの移動速度を調節しようと思って,「コントロールパネル」を探してみたのだが見つからない。それどころか,ファイルやプロパティといった馴染みの横文字すら見当たりません。しばらくして,「コントロールパネル」に相当する機能の名称は「小物」だということが判明。漢字表記が徹底されているのね。

キー割当に戸惑う

キーの刻印が当てになりません。普通,GUIのOSでは,ポインティングデバイス(マウスやタブレット)で行う操作と同等のことがキーボードでもできます。B-right/Vもキーボードですべての操作ができるのですが,キー割当が独特です。左右のCTRLキーとALTキーでそれぞれ意味が違うのです。例えば,[左 CTRL]+[E]キーに割当てられた機能は,[右 CTRL]+[E]キーでは機能しません。他にも[ESC]キーでエスケープしてくれないなど,いたるところで多い瞬間に遭遇させられます。

本来,BTRONは専用キーボードで操作するものだと思うのですが,それを無理矢理QWERTY配列キーボードに置き換えたから,キー割当が捻くれてしまったのでしょう。キーの刻印と機能が一致していないという仕様には,かなり違和感があります。

点字までサポートしている文字セット

BTRONは多国語対応OSです。文字セットも独自のものを採用しています。同一文章中に日本語,中国語,韓国語といった異なる言語の文字を共存させることができます。WindowsのUNICODEとは違って,それらにはきちんと固有の文字コードが割当てられています。でもそれだけじゃありません。点字にまで文字コードが割当てられています。さすがイネーブルウェアを語るだけありますね。

B-right/Vの文字コード表の一部です。当たり前ですが,ひらがな,漢字,ハングルが同時に表示できます。

データ管理は実身/仮身ネットワークで行われる

BTRONのデータ管理(ファイルシステム)には実身仮身モデルという概念が導入されています。これは,データ要素を有機連携させるっていう高度な手法なのですが,ぼくにはうまく説明できません。+"BTRON" +"サブプロジェクト" +"実身仮身モデル" +"特徴"のリンクを参考にしてみてください。

仮身ネットワークの一部を表示。ファイルシステムが階層構造ではなくネットワーク構造であることがちょっとだけ分ります。

TADで「悪いゴン太くん」

TAD(TRON Application Databus)はTRONアーキテクチャのコンピュータ間でデータの互換性を提供する標準規約です。HTMLの「悪いゴン太くん」をTADにしてみました。単純にHTMLをTADにしただけでも,TADには文章ファイルと画像ファイルという区別が存在しないことが実感できます。

WEBブラウザで表示したのではありません。いちおうソレっぽく見えますがHTMLとTADは似て非なるものです。

その他のことは

まだ言いたいことは山ほどあるのですが,面倒なので本人に会ったとき直接聞いてください。たぶん3時間くらい延々と喋り続けると思います。B-right/Vはそれくらい不思議な魅力をもったOSです。

開発者向けの耳寄りな情報

BTRONのアプリケーションはC言語で開発できます。当たり前ですが,MFCの知識は必要ありません。個人的にはBTRONアプリ開発のためのクラスライブラリがあった方がいいと思うんだけどね。

(「MFCがいらない」という一言に憧れを抱いてしまったアナタは第一級の職業病です。)