2000-06-11  『Microsoft Windows 2000 Professional リソースキット』入手

ヨドバシで「Microsoft Windows 2000 Professional リソースキット」のを購入しました。購入価格は2冊で¥9,030(¥4,300×2+消費税)。1冊¥4,300というのは特別価格なんだそうで,2001年1月1日以降は一冊¥4,800になるそうです。ところで,Microsoft Windows 2000 Professionalの公式マニュアルには,リソースキットの他にオフィシャルマニュアルというものもあります。私はオフィシャルマニュアルを熟読したことがないので断言はできませんが,オフィシャルマニュアルは初心者向け,リソースキットは中級者向けという位置付けのようです。

さて,この手の公式マニュアルをわざわざ購入する人は少ないと思います。仮に何か困ったことが起きても,オンラインで公開されている情報を閲覧すれば(マニュアルの世話にならなくても)だいたい解決できることが多いですし,Windows専門の月刊誌を購読していれば実用上十分な情報を得ることができます。しかしながら,パソコン雑誌にもっともらしく載っているテクニックは,大半が公式マニュアルの内容を丸写ししているだけです。ですから公式マニュアルを読んだ方が話が早いのです。

リソースキットで特に重要なのは冊子に添付されているCD-ROMです。このCD-ROMを導入すると,いくつかの便利なコマンドが追加されます。これらのコマンドを利用すると,GUIを使わなければ設定できないと思われていたプロパティをコマンドシェルから設定することができます。これから,その中の三つの項目を取り上げて簡単に説明します。

setx.exe

setx.exe は set コマンドの拡張版です。set コマンドと set.exe との 違いは,環境変数の設定によってシステムが影響を受ける個所および範囲です。set コマンドはそれ自身のプロセスの環境変数を設定します。そしてその環境は複数個の子プロセスに引き継がれます。これに対して,setx.exe はユーザ環境変数ならびにシステム環境変数を設定します。これは,コントロールパネル―「システムのプロパティ」で設定する項目のそれと一致します。

setx.exe は,ワークステーション(Windowsクライアント)をドメインに所属させて利用しているときに便利です。setx.exe を使えば,アドミニストレータが作成したログオンスクリプトで各ユーザのユーザ環境変数を設定することができます。ユーザはコントロールパネルを開いて環境変数を設定するといった手間を省くことができます。

clip.exe

clip.exe を使うと,コマンドシェルの標準出力を Windows のクリップボードに転送することができます。例えば,ワードプロセッサで編集中のレポートに,ローカルディスクのディレクトリ一覧を含めたいとき,あなたならどうしますか。ほとんどの人は,I/Oリダイレクションを使って標準出力を中間ファイルに出力しようとするはずです。例えばこんな感じです。

> dir > temp.txt

> start notepad temp.txt

> del temp.txt
	

clip.exe を使うと,中間ファイルが不要になります。標準出力を直接クリップボードに出力できるからです。

> dir | clip
	

次にワードプロセッサで,[Ctrl] + [V] あるいは[Shift] + [Insert]とキーを操作するだけです。

POSIXツール

リソースキットはWindowsにPOSIXツール郡を提供します。POSIX(IEEE P1003 Portable Operating System Interface for Computer Environments)は,オペレーティングシステムのサービスを定義する規格です。その中のPOSIXツール郡は,あらゆるオペレーティングシステムにUNIXライクなコマンドを提供します。ちなみにWindowsでUNIXライクなコマンドを提供するだけなら,CygwinWindows NT Services for UNIX Add-On Packを導入してもできます。ただし前者は2バイト文字(日本語)に対する挙動が不安定だと思われます。

業界人に「Windowsしか使えない」とか「UNIXしか使えない」とか「Mac以外使いたくない」といった人は稀です。WindowsからTelnetクライアントを使ってUNIXサーバの諸設定をいじる,なんてことは日常茶飯事です。このような状況下では,自分が今どのプラットフォームを使っているのかがだんだん分からなくなってきます。業界人の多くはファイルを編集しようとするときに,条件反射で vi とタイプするものです。業界人はありとあらゆるプラットフォームで,そのコマンドが解釈されることを望んでいるからです。