2003-11-23 ホムペの魅力を語る
私たちはなぜホムペに魅了されるのでしょうか。ど素人が作ったコンテンツになぜ引き込まれてしまうのでしょうか。私はホムペする人の精神構造にとても興味があります。今日はホムペがなぜ魅力的なのか私的な見解をお話します。
ホムペは「危うさ」で満ちている
いきなり結論に辿り着いてしまいますよ。私はホムペの存在をいつも危うく感じます。その「危うさ」こそが魅力の正体なのです。ホムペは地面すれすれの空中を飛行する飛行機のようなものです。いつ墜落,爆発,炎上してしまうか分からないのです。
「壊れないホムペはホムペではない」というくらいホムペには壊れる要因が揃い過ぎています。壊れる要因を内的なものと外的なものに分けた場合,内的要因は「飽きたから」,「嫌いな人が見ているから」,「自分の都合に悪くなったから」などではないでしょうか。そもそもホムペしようとした動機そのものは,ほとんどが思い付きの範疇であり希薄なのです。しかし「希薄,無気力,いくじなし」は決して悪いことではありません。あくまでその人の性格・生き方を表しているのであり,肯定も否定もされるものではないのです。
「Virtual(ヴァーチャル)な世界=非現実の世界」という誤解
「個性ならびに多様性は尊重されなければならない」,私たちはいつもそう考えています。ところが私たちはたびたび個性的すぎる人々に翻弄されます。きっとだれもが「××回ヒット記念(感嘆符)」などと言いながら有害セルフヌードを公開した人の看病をしたことが一度や二度あるのではないでしょうか。ホムペする人の行動は奇妙であり,私たちはホムペする人の奇行から目が離せないものなのです。しかも本人が意識して変なことをしているのならまだしも,無意識に変だと余計に興味を引き起こしてしまいます。
何がホムペする人を奇行に走らせるのでしょうか。ホムペする人の決り文句として「Viertual(ヴァーチャル)だから」という台詞を私は耳にしたことがあります。Virtualとはどんな意味なのでしょうか。しばしば日本語で「仮想」と訳されるため勘違いしている人が多いのですが,コンピュータの世界でいうVirtualとは本物と同じ機能をもつ実体のことを指します。もっとはっきり言うと本物とVirtualなものは,完全に交換可能なのです。
Virtualな世界は第2の世界であり,非現実の世界とは違います。よってホムペする人が自身の奇行に気づいたとき,ホムペの末路は悲惨なのです。ホムペする人が自分の個性を障害だと認識したとき,ホムペする活力は急激に減衰していくのです。さて個性と障害とを分けるはっきりした境界線は,どこにも存在しません。「ホムペする意思」に関する研究はまだ不十分であり,この分野にはまだ未解明な点が多いのです(ふめい)。
構成部品の脆弱性
ホムペが壊れる外的要因を考えてみましょう。ありふれたホムペは普通,無料のウェブ・サービスを寄せ集めて作られています。日記,掲示板さらにはリンク集までもが(時代遅れの)CGIスクリプトで構成されており,各々のサービスが複数のサーバホストに分散しているのです。無料サービスは不安定であり,手入れが行き届かないとデータの消失およびリンク切れに陥りやすいものです。ホムペの構成部品は脆く,サーバ側の都合で形態が失われやすいのです。
ホムペの無料サービスを交換するのは至難の業です。いわゆる「引越し」に失敗し,大きく破壊されたホムペの例を私はいままで数多く見てきました。外的要因は「もう続けられない,止めるべきだ」という判断を下すのに十分な説得力があります。ホムペは硝子細工のように繊細であり,継続するにはこれら数多くの危機を克服し続けなければならないのです。