2013-08-12 某映画館―時代はビデオプロジェクタ―
毎月1日は,映画の日です。先日,市内某大人の映画館を調査してきました。
映画館なんていうと,「臭い」「汚い」「気持ち悪い」というわけで,限られた人たちだけで賑わっている遊び場です。
「そうだと分かっていながら,なぜ映画館へ?」と思った人がいるかもしれません。私は,調査員だからなのです(なぞ)。
普段,用事はないのですが,3年に1回くらいは調査するようにしているのです。
朝からおじいちゃんたちがゾロゾロ
新聞の映画館情報に依ると,その映画館で映画が始まるのは,午前10時40分だそうです。
私は,朝から身支度を済ませ,映画館へ向かいました。
映画館に到着したのは,午前10時30分でした。
その映画館は,雑居ビルの地下1階にあります。
階段をとぼとぼと下りて,薄暗い廊下をしばらく歩くと,小さな窓口が現れました。映画館の入り口です。
私は,窓口でお金を払おうとしたのですが,鞄の奥に財布を入れていたので,財布を取り出すのに手間取ってしまいました。
そうこうしているうちに,ほかにもお客さんが来てしまいました。私は,後ろに並んだ人に順番を譲ることにしました。
すれ違いざまにチラっと,その人を見たのですが,「きみまろ」のようなおじさんでした。緑色の澄んだ瞳をしていました。
白目には一切の血色がなく,最初,「義眼なのかな」と思いました。でも,両目がそんな状態でしたから,生身の目玉だったのでしょう。
時代はビデオプロジェクタ
こうして,映画館に潜入したのですが,まだ上映時間前でした。
スクリーンは,真っ暗だったのです。それでも,座席には,おじいちゃんたちが詰め掛けており,期待の高さを伺わせておりました。もちろん,碌でもない期待なのでしょうけれど。
さて,10時40分になり,館内に上映のブザーが鳴り響きました。
私は,映し出された映像を見て,びっくりしました。画素の格子が見えたのよ。
どうやら,フィルムの映写機ではなくて,ビデオプロジェクタが使われているらしい。以前は,違いました。いつ変わったのかは分かりませんが,フィルムからビデオに設備が変わったのでしょう。
映像の解像度は,VGA程度に見えました。映像ソースは,DVDなのかもしれません。お世辞にも,映画館で観るような映像品質ではありませんでした。
どうせ映画を観に来ているお客さんはいないから,品質なんかどうでもいいと割り切っているのかもしれません。
頭隠して
上映が始まってから,私は,後部座席や出入り口で,おじいちゃんたちがおかしな動きをしていることに気づいていました。
意味もなく座席を移動したり,館内への出入りを繰り返したりしていたのです。
私は,スクリーンの左側,前後の位置は中間くらいの座席に座っていました。すっと立ち上がり,調査を始めました。
劇場の入り口には,サングラスを掛けた白熊のような人が立っていました。
最初は気づかなかったのですが,よく見ると,白熊さんは身ぐるみ剥がされていました。大きな体には,3匹の妖怪が張り付いていました。隠しているのは,サングラスを掛けた目元だけ。「頭隠して――」という状態だったのです。
そのうち,私は,出入り口までたどり着き,白熊さんに至近距離まで近づきました。白熊さんに張付いている妖怪の一人は,入館のとき,受付でお見かけした「きみまろ」さんでした。
きみまろさんは,おっぱい攻め担当だったようです(なぞ)。
さて,ほかにも,後部座席でパパたちが3人でがんばっていたり,ほかの出入り口では,パパ同士が戯れたりもしていたのですが,どれも気色悪いだけで,取り立てて報告するような内容ではありませんでした。
私は,休憩所のカップ自販機で,狂った味のする緑茶を半分くらい飲んでから帰宅しました。