2020-02-19 某地下サウナ―生温い祝杯―
かなり前の出来事。
某サウナや市内大衆浴場で度々お見掛けしていた真理子という人物が,不埒な事件を起こしてしまい,警察に逮捕されてしまいました。(マジで。)
真理子の姿が市内おさかんスポットから消えた数週間後の日曜日,私は,虹色業界人向けの某地下サウナを利用していました。
時刻は23時を過ぎていました。「しっかし,今日も碌なヤツ来なかったな」と文句を言いながら,私はひとり休憩室でビールを飲んでいました。そのうち,「そろそろ帰ろうか」という気になったので,軽くシャワーを浴びることに。
休憩室と浴室を繋ぐドアには小窓があり,浴室から休憩室が少し見えるのだが,私が浴室に入るやいなや休憩室に人影が。最初は,「こんな時間にだれか来たんだな」くらいにしか思っていなかったのですが,その人物が着替えを済ませ浴室に入ってきて私はヨコ漏れしました。その人物は,逮捕されたはずの真理子だったのです。
真理子は,手早くシャワーを浴びると休憩室に戻って行きました。
私は,「どうして真理子がここに?」と気が気ではありませんでした。シャワーを早々と済ませ,休憩室に直行。
真理子は座椅子に座っていました。
私はロッカーから残りの缶ビールを取り出し,備え付けのウォーターサーバから紙コップを拝借すると,おもむろに真理子の隣に座りました。
私は,「もう『務め』は終わったのか?」と真理子に声を掛けました。(「もう刑務所から出所したのか?」という意味。)
真理子「わぁ,びっくりした」
私「びっくりしたのは,こっちの方だよ。あんな大事(おおごと)になって,みんなで心配していたんだよ」と言いながら,真理子に紙コップを手渡すと常温のビールを注ぎ込みました。
「とりあえず乾杯ね」と,生温い祝杯を上げることに。
話を聞いてみると,プロかどうかはっきりしないが厄介な子に手を出してしまったとのこと。結局は数十万円の示談金を支払って,娑婆に出られたそうです。
この出来事の数か月後,真理子は忽然とこの街から姿を消しました。いまどこにいるのか,生きているのか死んでいるのか,それすらわかりません。(わりとマジで。)