2020-12-14 ヴァーチャルY兄貴―ちゅーるに首ったけ―
おっす,ヴァーチャルY兄貴だ。オラオラ。
爽やかな日曜日,俺は暇なときは近くのホームセンターで時間を潰す。
金槌やら鋸やらねじ回しやら‥‥店の中で使いもしない道具を眺めては思いを馳せるわけである。男のロマンだな。
これは秘密なのだが,とくに好きなのがペット売り場だ。ホームセンターの店内ではペット売り場だけ別次元のファンシーな空間とでも言うか,可愛いもので溢れ返っている。「ちゅ~る」というペットのおやつ売り場に至っては,備え付けのテレビで流れている宣伝ビデオに出てくる犬や猫がまあ可愛いこと。
ところで,俺は犬や猫を自分で飼おうと思ったことは一度もない。
理由は手間が掛かるから。餌やりや糞や小便の世話,考え出したら何もかもが面倒そうだぜ。それにワンワン・ニャンニャン元気にしてもらっているうちは良いが,何しろ相手は生き物だからな,たまに病気になることもあるだろう。
いちばんの理由は別れ。ペットは自分よりも先に死ぬという避けようのない現実がある。小憎らしい奴ならまだしも,懐いている相棒が死んでしまったらさすがの俺でも泣いてしまうぜ。動物の死骸‥‥おっと失礼,亡骸をどうするかという問題もあるな。まさか公園の土壌に穴を掘って埋めるわけにもいかないよな。
動物の飼育に迂闊に手を出してはいけない理由だらけなわけだ。「可愛いから」なんて安直な気持ちではとてもできない。
クソ真面目な奴は,「私欲を満たすために生き物を繁殖させる行為は,倫理的に問題があると思うから飼わない」なんて高尚な理由を掲げるのかもしれないが,そういったクソ真面目な議論はクソ真面目な連中に任せるぜ。
おっと,余談が過ぎたな。
俺は外をぶらついて,偶然よその飼い犬が散歩している場面に出くわしたらニヤニヤしながら眺めるだけにしている。これなら無責任に楽しめるからな。手間も時間も掛からない。
犬をジロジロ見て,吠えられた経験はないが動物の直感で俺が何者か奴らには分かるんじゃないかな。怪しい目で見られている気がするぜ。飼い主の感情を犬が汲み取っているのかもしれない。
なぜ犬は俺に媚を売らないのか。俺からは餌の匂いもしなければ,金の匂いもしないからだろう。用事なんてないわけだ。オラオラ。