2023-02-11 某大衆浴場―丁寧な暮らしをする小熊―
日曜日の夜,わざわざ電車に乗って市内某銭湯を調査してきました。その銭湯には中年の小熊が出没するらしい。一度,様子を見に行くことにしたのです。
某駅で下車後,さらに1.5kmほど徒歩で移動。
到着したのは,これまた辺鄙な場所にある銭湯で御座いました。今時,珍しく番台がある風呂屋。建物は築50年くらいではないかと思いました。かなり古い印象。
お客さんは2人しかいなかったのですが,脱衣所が広く銭湯にしては規模が大きいように思えました。昔は繁盛していたのではないかと想像できます。
浴室に入ってみたところ,困ったことにとんでもなく寒い。私はいつも髪と体を完全に洗ってから浴槽に入るのですが,寒すぎるので中断して早々お湯に浸かることにしました。
常人には入れない
浴槽は4種類ありました。
まずジェットバスに入ってみたのですが,温度が低すぎる。
つぎにいちばん大きな浴槽のお湯に片足を突っ込んでみたところ,今度は熱すぎました。悲鳴を上げたくなったほど。
そんな私を見兼ねたのか,サンドウィッチマンの伊達みきお似の方から言われました。「その風呂は熱すぎるから常人には入れない。水で薄めてから入るといいよ」とのこと。
言われた通り水で薄めてみることにしたのですが,焼け石に水とはよく言ったもので,少しくらい水を足した程度では冷める気配はまるでない。私は入るのを諦めました。
丁寧な暮らしをする小熊
私はスチームサウナで暖を取ることにしました。スチームサウナは清掃がいい加減なのか,異臭がしていました。
「長居していると何らかのばい菌に感染しそうだわ」と考え事をしていると,スチームサウナの扉がするりと開き,小熊のような人物が入ってきました。事前情報によるとこの小熊は虹色業界人らしい。
小熊は52歳くらいに見えました。各所に手入れが行き届いており,丁寧な暮らしをしている感じに見えました。
「こりゃ若い頃は相当モテたでしょうね。迂闊にからかったら後が怖そう」と思いながら,私は小熊を観察することにしました。
小熊は青白い顔をしていました。おそらく長年の喫煙習慣により血管がひどく痛んでいたのでしょう。おやおや,煙草を吸っているようでは,丁寧な暮らしをしているとは言えないかもしれませんね。
私は閉店20分前に上がることにしました。
やはり小熊
私は脱衣所で体を拭きながら,ガラス越しに浴室内の小熊の様子を観察していました。
するとどうでしょう。あの熱すぎる浴槽に小熊が入っているではありませんか。しかも小熊はずいぶんとお風呂を満喫しているご様子。
私は目が点になりました。
加齢が進むと温度に対して鈍感になり,熱い風呂を好むようになるそうです。もしかしたらあの小熊は,見た目以上に年を取っていたのかもしれませんね。
私は,伊達みきお似さんが「常人はあの風呂に入れない」と言っていたのを思い出しました。常人には入れない風呂にやすやすと入る小熊とは一体,何なのか。やはり小熊であるとしか言いようがありません。(なぞ)