2023-08-16  ビジネスホテルの有料放送―トランス覚醒エステ媚薬×エビ反り×痙攣―

某日,某ビジネスホテルに宿泊した際に有料放送を視聴してみることにしました。

あの手の有料放送も近代化が進められており,プリペイドカードを別途購入してカードに記載されている暗証番号を入力すると放送を観られるようになっているとのこと。一体どんな仕掛けなのでしょうか。

プリペイドカード自販機

プリペイドカードの自動販売機は,エレベータ乗降口付近に堂々と設置されていました。てっきり人目の付かない場所にこっそりと置かれているものだと思っていたのに違いました。

時刻は21:30。「寝るにはまだ早いな」という感じの時間だったので,私は有料放送のプリペイドカードを買ってみることにしました。

千円札を握り締め,忍び足で販売機に向かってみたのですが問題が発生。券売機に千円札がなかなか入らなかったのです。「ありがちね」と思いながら,千円札の形を整えたりひっくり返してみたりして投入を試みていたのですが,何しろ場所はエレベータの前です。手間取っているうちにエレベータが止まり,いよいよ扉が開く事態になってしまいました。

エレベータの扉が開くまで猶予時間が3秒間くらいあったので,私は急いで退散することにしました。数分待ってからまた券売機と格闘。

その後,プリペイドカードの調達に成功しました。装置が故障していただとか,欠品でカードが出て来なかったというオチを期待していた人は残念だったかもしれません。

ホテルの一室にて

プリペイドカードには8桁の番号が書かれていました。この番号を入力すれば大人向けの番組を視聴できるのでしょう。

部屋に備え付けのテレビはPanasonic VIERAでした。このテレビはアクトビラ(acTVila)に対応しており,電源を入れると最初にホテルのホームページらしきものが表示されるようになっていました。

ホームページ上には有料番組へのリンクが設置されていました。リンクを選択すると,プリペイドカードに記載されている番号を入力する画面が現れ,番号を入力すれば大人向けの番組が見られるという仕掛けになっていたのです。

さて,「リモコンの選局ボタンで0ってどうやって入れるのかしら」と思ってリモコンのボタンを眺めてみたら,10を押すと0が入るようになっていることに気付きました。

「なるほどね」なんて感心しながら,番号入力の工程は難なく突破しました。

(注意:テレビリモコンの種類によっては,独立した0ボタンが存在するものもある。)

トランス覚醒エステ 媚薬×エビ反り×痙攣

有料放送には,ビデオ・オン・デマンド(VOD,電子レンタルビデオ)方式が採用されており,複数の作品の中から自由に作品を選んで視聴することができました。

私が最初に視聴してみたのは「トランス覚醒エステ 媚薬×エビ反り×痙攣」という作品。

最初に気になったのが,女優さんのおっぱいが偽物なのとカメラのピントが合っていないことでした。低照度で肌色も綺麗なのですが,低照度であるがゆえにオートフォーカスに迷いがあり被写体にピントが合っていないのは致命的なのです。

話の設定は,オイルマッサージを受けに来たお姉さんが室内の加湿器に仕込まれた媚薬成分を吸引してしまい,徐々に気分が高揚してしまうという内容。

私ね,お姉さんの演技を観て「媚薬というよりも毒を盛られて苦しんでいるのかな」と思いました。なんとなく神経毒。虫けらに殺虫剤を掛けると,もがき苦しんでそのうちひっくり返って死にますよね。お姉さんは,体をくねらせたり勢い余って体に掛けてあったタオルを投げ捨てたりしていたのですが,その様子が死に行く虫けらのように見えてしまったのです。

媚薬モノは女優さんの演技力が試されるのです。

別の作品になりますが「体の動きは少ないものの,白目をむきながらひたすら涎を流す」という演技をしていたお姉さんもいました。あれくらいが適当なのかなという気がします。

トランス覚醒――の視聴はさっさと切り上げて,ほかの作品を観てみました。どれも駄作という感じで,時間を割いて観るほどの価値ある作品には出会えませんでした。

私は「この感覚,何かに似ている」と思いました。ビデオボックス(試写室)でDVDを選んで視聴していた感覚にそっくりなのです。いまの料金はいくらなのか不明ですが,十数年前だと2時間で1,500円くらい。DVDの貸し出し本数は5本くらいでした。

とにかく外れが多いので一度,借りたすべてのDVDを早送りで再生して,面白そうな1本を観るという感じでした。

ビジネスホテルの有料放送はVODではなくて,目利きが厳選した作品をひとつのチャネルで放送する方式にした方が,視聴者の満足度は高いのかもしれませんね。なぜなら視聴者には選択の余地が一切ないので提供者側の責任が重くなります。担当者は真面目に仕事をするはずなのです。