2026-03-22 デパスを売る商売―現代の闇医者―
「デパス」は抗不安薬です。田辺ファーマが製造販売している薬のようです。一般名はエチゾラム。2016年からデパスは向精神薬に指定されています。デパスは医師の診察を受けなければ入手できません。
先週,私は自由診療でデパスを購入できるクリニックを見つけてしまいました。クリニックの公式サイトで堂々と公言しているのです。
そのクリニックは,デパスを睡眠薬として取り扱っています。問診で「寝つきが悪いので短時間作用型の睡眠薬がほしい」と頼めば,処方してもらえそうな雰囲気。
短時間作用型の睡眠薬は,デパス以外にもあります。あえてデパスを選ぶ理由として「つい心配事を考えてしまい不安になって眠れない」と不眠の原因を訴えることが肝になると思われます。「心配事はないけれど目が冴えてしまう」のであれば,デパス以外の睡眠薬を勧められるのかもしれません。
さて,私の読みではこのクリニックは正直に寝付きを良くするためにデパスを取り扱っているのではありません。デパスは依存が形成されやすい薬であると言われています。どうしても欲しい人がいるわけです。
私は過去にプロポン中の話をしました。プロポン中とは,違法薬物の覚せい剤を生活に支障を来さないように上手に活用する人たちの俗称です。プロポン中は,覚せい剤の作用を途中で切り上げてシラフに戻るためにデパスを使うことがあるという話を聞いたことがあります。
つまりこのクリニックでデパスを調達しようとするお客さんは,デパス依存症の人間とプロポン中なのではないかと思うわけです。見方を変えれば現代の闇医者。
もし私がサブカルチャー雑誌の仕事をしていたら,颯爽とクリニックに乗り込んでデパスを入手するまでの一部始終を取材したかもしれません。どちらにしろ現代社会では興味本位で向精神薬を調達し,面白おかしく体験談を語る行為には問題があると思われます。