1999-01-30 そのうち好(よ)くなるなら
過去に私は多い日の感染症に怯えながらも,その見返りであるお健やかな日々を満喫しているという話をしました。その日,歯医者さんで調節してもらった歯の矯正装置なのですが,今朝歯を磨いている時に見たら壊れていました。これは一大事です。この状態を放っておいてはいけません。早速,歯医者さんに電話することにしました。
※以下は私と担当医のK先生とのやり取り。
私 : 「おはようございます。上顎右の第2小臼歯*1のブラケット*2が壊れたんですけど。外れてワイヤーにぶら下がっている状態です。今(来院の)予約取れますか?」
――Kさんは,しばらく考え込んでいるご様子。
Kさん : 「その場所は放っておいても大丈夫です。装置全体が連鎖的に壊れることも考えづらいです。次回の来院までそのままにしておいてください。」
私 : 「放置しても大丈夫なんですか?」
Kさん : 「ええ,恐らく…」
――「恐らくって,大丈夫じゃなかった時にはどうなるんだよ。」などと思いながら。
私 : 「それじゃ状態が悪化したらまたお電話します。失礼しますー。」
ということで,Kさんの「連鎖的に壊れる。」という一言を気に掛けながらも,ぼくは受話器を置いたのでした。上顎右の第2小臼歯のブラケットは以前も外れたことがある(「外れる」というよりも「接がれる」という表現が適当かもしれない)のだが,おそらくここは多い場所だからでしょう。(それじゃ少ない場所ってどこなんだ?)
壊れた場所は次回通院したときに直してもらうことになりましたが,私,ブラケットの付け替えが嫌いです。その値段も然ることながら,歯に残っている接着剤を削り取られるのが嫌なんです。微々たる量とはいえ,たぶん一緒に歯のエナメル質も削られてしまいます。嫌なことはまだありますよ。ブラケットは強力な接着剤で歯に接着するんだけど,この接着剤には独特の刺激臭があります。さらにブラケットを接着する時は,作業中に口が閉じないようにシリコンでできたマウスピースのようなものを口に入れます。素材自体は柔らかいのですが,この上から押さえつけられると,一点を刺されているようでこれがまた痛いのです。つまり,歯の研磨に怯えつつ体に悪そうな異臭に包まれ,なおかつ痛いという,まさに踏んだり蹴ったりなのです。子どもが矯正治療を中断してしまうという話をよく聞きますが,おそらくこの苦痛に耐えられないからでしょう。(甘いお菓子*3を制限されるのも,子どもにしてみたらかなり酷でしょうしね。)
リスク以上の結果を得るには,少々苦痛でも仕方がないものです。痛くてもそのうち好(よ)くなるなら,ぼくは痛いのも平気です。多い日のリスク管理とはそういうものです。
*1 「第2小臼歯」がどこだか分からない人は,Excite Japan : +"第2小臼歯" +"基礎知識"からリンクされているサイトを参考にしましょう。
*2 「ブラケット」がどんな部品なのか知りたい人は,Excite Japan : +"メタルブラケット" からリンクされているサイトを参考にしましょう。
*3 ほとんど子どもは甘いお菓子が大好きです。お砂糖の甘味は心に安らぎを与えてくれるからです。子どもの健やかな成長のためには砂糖の甘味は欠かせないものであり,虫歯になるからという理由だけで,子どもから砂糖を奪い取ってしまうことは安易な行動であると私は考えています。――でも現実問題として,キャンディー・あめ類やチョコレート菓子を食べた後の歯の汚れは,磨いても落ちません。元々磨いて落ちるような性質のものではないからです。普通の歯でも落ちない汚れなのですから,矯正装置が入っている場合はさらに洗浄することが困難です。それでは,甘いお菓子は虫歯のリスクが高いのだから,絶対に食べてはいけない(食べられない)ものなのかといえば,そうではなくて食べてもいいのです。ただし間食にしてはいけません。問題は食べ方です。甘いお菓子を食事時に食べるなら,虫歯のリスクを低く抑えることができます。――と私も歯医者さんから指導されています。やってみると分かるのですが,チョコレート菓子を食べた後に食事を摂ると,チョコレート菓子独特の汚れ(ザラザラした感触)が歯に残りません。当たり前といえば当たり前なのですが…。