2004-01-19 私はINFOBAR(インフォバー)が怖い
携帯電話を使い始めて18か月(1年と半年)が経過しました。最近の様子をお話します。
通信料178円,通話料0円
今日,2003年12月分の「au電話料金のお知らせ」が届きました。利用金額は3,231円でした。内訳は「基本料金(ちょっとコール年割)2,600円+EZメッセージ・高速パケット料金300円+パケット通信料178円+通話料0円+消費税153円」です。以前,何度かお話しましたが私にはお友達がいないので(毒),ほとんど携帯電話を使う機会がないのです。携帯電話の利用金額が3,000円代という人は珍しいかもしれないので,事の経緯を説明します。
こんな私でも半年前はパケット通信の割引サービスとやらを併用して,毎月7,000円弱の利用金額を払っていました。しがない業界人として(なぞ)携帯電話のサービスがどんなものかまったく知らないのでは困るので,市場調査も兼ねて積極的に利用していたのです。そんなこんなで携帯向けコンテンツをせっせと閲覧する日々を送っていたのだが,ある日を境に料金コースを変えて使うのをぱたりと止めました。私は「これって時間泥棒の被害に遭っているのではないか」と疑いを持つようになったのです。「割引サービスって使わないと損をするのではなくて,使えば使うほど損をするのではないか」と悟ったからなのです。
(またまた似たような話を以前したことがありますが)なぜなら同じ「1時間」といっても20代の1時間と60代の1時間とでは,時間の価値がまるで違うのです。「仮に60代になった私が20代だった頃の1時間をお金で買うことはできない。だからいま20代の私が携帯電話のために無駄な時間を費やしているとしたら,それって愚かなだけ。だいたいさ,30代を過ぎたらもう新しいことは覚えられないんだよ。だったら,いまするんだったら頭に残ることがいいよな」と考えるようになったら自然と利用頻度が激減(適切)になったのです。おかげで今では週に3通くらいメールを打つだけです。
私はINFOBARが怖い
いま私が使っている機種はSony Ericssonの「A3014S」です。A3014Sはカメラ非搭載の頃の機種なので今となってはずいぶん古い気がします。一時期「INFOBAR(インフォバー)」に機種変更しようかと思って目を付けていたのだが,客観的に「買い替える必要なし」という結論に到達し,まだ機種変更していません。どうもINFOBARには罠があると気づいたのです。
INFOBARとは「au design project」とやらの外観重視の携帯電話です。巷ではデザインが洗練されていると評判です。私はINFOBARには二面性があると思います。テレビコマーシャルや売り場に展示されているINFOBARは確かにオシャレに見えるのだが,街角でINFOBARを使っている人を見るとどうも似合わないというかデザインがおかしいのです。INFOBAR単体ではデザインが良いと感じるのに,実際に使っている場面を見ると違和感があるのはなぜでしょうか。私は少し考えました。そして「ファッションの催し物に出てくる突飛な衣装が普通の人に似合わないのと同じで,INFOBARが許される人と許されない人に分かれるのではないか。INFOBARは持つ人を選ぶのかもしれない」ということに気づきました。「それじゃINFOBARの似合う人って具体的にどんな人?」と問われるとよく分かりません。INFOBARのカタログやらテレビコマーシャルでは人物と合わせていないようなので,もしかしたら釣り合いの取れる人は存在しないのかもしれません。
「日本の工業デザインはどうも幼稚で気に入らない」なんていう意見をたまに見掛けます。これも似たような現象なのかなと思います。とくに電話がお題に上がるようですが,単体で見ると「もうちょっとマシなデザインがあるでしょう」と思っていても,使っている人と合わせてみると,べつに変に見えないので結果的にそのデザインは優れているし,成功しているなんてことがあります。つまりですね――
「この電話のデザインがちんちくりんなのは,アナタ自身のデザインに合わせているからなのよ。頭でかくて歯並び悪くて,ついでに手足も短い,そんな幼稚で不格好なアナタに似合うデザインってどんなのかしら?」
――ということなのです。もしかしたらデザイナーにとっていちばんの頭痛の種は,利用者のデザインが足かせすることなのかもしれません。工業デザインは利用者抜きには成立しないでしょうからなおさらです(専門家はどう考えているか知りませんが)。INFOBARは利用者不在で市場に出たという意味で,革新的だったのかもしれません。こう考えると私は怖くてINFOBARに近づけなくなってしまったのです。