2004-07-09  タイ国から帰ってきたパパ

Iパパは,市内おさんぽ業界を牛耳る有名人です。Iパパは日本を脱出してタイで暮らしはじめたのですが,なぜか帰国していました。いったいパパに何が起きたというのでしょうか。1年前の出来事からお話します。

1年前

私がIパパの移住計画の噂を耳にしたのは,1年ほど前のことでした。噂を聞いてからIパパの自宅にお邪魔する機会があったもので,私はパパに真相を尋ねてみました。するとやはり噂は本当でした。しかも頼んでもいないのにパパは唐突に大学ノートを広げ,私にタイでの計画を説明し始めました。パパはかなり計画的な人でして,タイに住んでからひと月に掛かる経費や,日頃どうやって過ごすかまでノートにまとめていたのです。

私は予定表を眺めていて,怪しい一文が気になりました。そこには「レジャー」と書いてありました。私は指差しながら「この週2回ある『レジャー』ってなんですか」とパパに尋ねました。するとパパはニヤニヤしながら,私の耳元に顔を寄せ「現地の子を○うのよ」と囁きました。もちろん私は薄々,気づいていながらそんな質問をしたのですが,あまりにパパが楽しそうな顔をしたので,その場で仰け反ってしまいました。いわゆるヨコ漏れです(ふめい)。

タイ国から帰ってきたパパ

時は過ぎ2004年初夏の昼下がり,市内某駅前便所を調査していたときのことです。便所には,Iパパのお友達のKパパがいました。私は近くのベンチでKパパと雑談したのだが,なんでもIパパは春に帰国したというのです。Iパパの移住計画はいったいどうなってしまったのでしょうか。

そんなことを考えていたら,Kパパは私に「これからIちゃんを呼ぶわ。アナタ,時間あるんでしょう。少し話し相手になってあげて」と言い,Iパパに電話を掛け始めました。なんでもIパパはタイでの苦境を他人に話したくて,うずうずしているのだそうです。私にはIパパの苦労話を聞く義務があるというのです(なぞ)。私はなぜか,便所前のベンチでパパと待ち合わせするはめになってしまいました。ただいつもこんな役回りなので,いまさらどうとも思いませんでしたけどね(さらになぞ)。

さて,そうやってベンチにお座りしていたらIパパが登場しました。パパは「よっこいしょ」と言いながら私の隣に座るやいなや,機関銃のように話し始めました。パパは,体調を崩して体重が10kgも減ってしまったのだそうです。なんでも帰国の原因は,タイの飯がまずくて耐えられなかったからだそうです。もちろんそれは表向きの理由です。本当は想像していたより「レジャー」が楽しめなかったからだそうです(毒)。タイの人は顔が濃すぎて,気に入らないのだそうです(さらに毒)。

またまたパパさようなら

5月の連休中,Iパパは東京で遊んできたそうです。パパは「やっぱり東京がいちばんね。秋からは東京で暮らすわ」と言いました。Iパパは異国よりも国内に安住の地を求めることにしたようなのです。パパが好きなのは映画館と旅館だそうです。都民の方は気をつけてくださいね。この人はしつこいです(なぞ)。

私はパパの話を聞いている間,腹黒い本性が露呈していました。「これからこの便所が寂しくなります。東京に行っても,体を悪くしないでくださいね」と言っておきながら,内心は「やれやれようやく一匹,片付いた」と思っていたのです(毒)。

私の恥ずかしすぎる過去を知る人物が一人減ったかと思うと,いくらか気が楽になったのです(ふめい)。無論,まだまだ私の天敵は何人もいます。これから天敵たちをどうやって片付けていくか,私にとって古くて新しい問題なのです(再三ふめい)。