2004-07-22 ピカソ展みてきました
昨日の午後,近くの某美術館で「ピカソ展――幻のジャクリーヌ・コレクション――」を鑑賞してきました。「平日だから混んでいないだろう」と思っていたら,美術館は小学生と女子高生の群れに占拠されておりました。てっきり平日は空いていると思っていたのに,学校の授業に使われていたのですね。幸い小学生の大群は鑑賞が終わった後だったらしく,喧しくてどうしようもないという最悪の事態は避けられました。
会場内にて私は目ぼしい二人のギャルを発見をしました。私は彼女たちの後ろをベタベタくっ付いて作品を鑑賞することにしました(なぞ)。ギャルたちはピカソの絵を指さしながら,「これカワイイ」と盛んにはしゃいでいました。もちろん,「ギャル」と言ってもそのへんの道端に座って下着を見せびらかしているような人たちとは違うので,「この色使いは思いつかないよね」とか「これってクレパスかな」といった話もしていました。彼女たちの最大の関心事は絵のモデルらしく,「ジャクリーヌ(ピカソの最後の妻)ってどんな顔していたのかな」と盛んに気になっているご様子でした。
美術館では順路に沿って作品を並べています。順路の終わりにはジャクリーヌとピカソの写真が掲げられていました。写真を見てギャルは「絵とおんなじだ」と叫びました。かなり驚いたのでしょう。私も驚きました。ピカソの絵というといろんな角度から見た像を分解して,平面に描く技法(「キュピズム」と言うらしい)が有名で,ぱっと見ると目やら鼻が変な場所にくっ付いて描かれています。素直に見ると「ぐちゃぐちゃ」のようなのですが,じつはそうではなかったのです。モデルの写真と見比べると明らかに絵と同じ人だと分かるし,写真では隠れて見えない個所(例えば正面から撮った写真では,被写体の側面の姿が分かりません)を絵では描ききっています。絵は写真よりも詳しかったのです。この発見だけでも,絵を観に行った価値があったと思いました。
順路の先には売店がありました。売店では絵の模写や絵葉書が売られていました。ギャルたちは買い物に目がないらしく,「この絵葉書みたことある」と,はしゃいでいました。ギャルたちが買い物に明け暮れている最中(さなか),私は美術館を出ていました。生暖かい空気に鳥肌を立てながら,「恐るべしキュピズム」と芸術の奥深さに叩きのめされる思いでした。