2004-11-13  僻地の公園・生い先短い人たち―前編―

※2004年7月の調査報告です。

沈黙の雑木林

某日,市内某公園を調査してきました。その公園はかなり有名なところでして連日,妖怪やふしぎ少女たちがばい菌の培養をしているそうです。夏季には青少年らによる「狩りのようなもの」も頻発しており(有害)知名度抜群,花形の公園なのです。

22時,調査員である私は某公園に到着しました。生暖かい風が通り抜ける中,雑木林を歩いてみたのだが一見だれもいないかのようでした。ところがよく観察してみると,木々の影に妖怪たちがへばりついておりました。妖怪たちは自然と同化していたのです。「狩りのようなもの」が頻発しているからなのか,この公園の妖怪たちは独自の進化を遂げているのですね。

さて,お集まりになっていたのは確かなのだが,だれも何も活動していませんでした。「まだ時間が早いのかな」と思い一旦,和食ファーストフード店で腹ごしらえすることにしました。

ひとりよりふたり,ふたりより‥‥

某公園はとんでもない僻地にありました。「軽く夜食を」と思ったのだが,近隣に店はなく数キロ離れたところまで行かなければなりませんでした。そのあとコンビニで立ち読みしたり買い物したりで,くつろぎすぎてしまいました。調査を再開した頃には午前0時をすぎていました。

公園に戻ってみると,木のテーブルのようなベンチの上に,二人のふしぎ少女が横たわっていました。その上には妖怪が覆いかぶさっていました。どうやら三人でばい菌の培養をしているようでした。ところがよく見てみると,三人ではなく四人でした。一人は真っ黒な格好をしていたので,よく見えなかったのです。くどいようですが,この公園では自然と同化している人が多かったのです。

妖怪とふしぎ少女たちは,亜硝酸アミル類の入った小瓶を交互に吸引していました。「スーハースーハー」していたのです。一人の妖怪に至っては缶チューハイを飲みながら,おさかん行動に耽っていました。そこまで羽目を外さなければならないなんて,よっぽど私生活が虐げられているのでしょうか。妖怪の日常がとても気になりました。

妖怪たちはかなり派手に行動していたので,周囲には人だかりが出来ていました。そのうち隣で見ていた太目のパパが四人に合流してしまい,五人でばい菌の培養が始まってしまいました。みなさん老い先短いのでしょうか(毒)。憑かれたかのようにばい菌を培養していたので,きっとそうに違いありません(再三,毒)。

小熊の襲来

妖怪たちの不衛生な宴はかなり長い時間,続いていたと思います。その間,私は観察を続けていたのですが,途中で思わぬ邪魔が入りました。突然,「うぉー」という叫び声とともに背後から物体が襲い掛かってきたのです。

とってもブヨブヨしていたので何かと思ったら,物体の正体は若い小熊でした。まったく想定外の出来事でした。私は何がなんだか分からなかったので,「なにするのっ」と言いました。すると小熊は「いいじゃねーか」と言いました。いやはや,小熊の○欲ってすごいんですね(ふめい)。小熊は私の腕を捕まえると,ものすごい力で雑木林に引き釣り込もうとしました。ずいぶん強引な小熊だったのです。もうびっくりしてしまって,小熊を振り切るのに時間が掛かってしまいました。

それでも,なんとか小熊を森に帰し(なぞ)ベンチのある場所に戻ってみると,すでに妖怪たちの姿はありませんでした。あれは幻だったのでしょうか。いいえ,地面にはおびただしい量のちり紙と,チューハイの空き缶が散らばっていました。たしかにこの場所では,さっきまでばい菌が培養されていたのです。大変,恐ろしいことです。

その日,私は引き続き別の公園を調査することにしました。そこでまたまた不衛生な場面を目撃してしまったのです。つづく。