2007-03-12 アルゴリズム株取引の実際―ナンピン買いの指針―
アルゴリズム株取引の続報です。新たに「ナンピン買い」の指針を決めることにしました。「ナンピン」とは過去に買った銘柄の株を買い増しして,以前の買値を引き下げる買い方です。
あらまし
本方式のアルゴリズム株取引では,株を買ってからさらに価格が下がってしまう現象がたびたび発生します。元々ちょっと価格が下がるという性質があるので仕方がないのですが,一度下がると,予定した売値に価格を戻すまで時間が掛かってしまいます。
価格が下がる性質は悪いことばかりではありません。下がったときにナンピン買いすれば,もっと早く売れるはずなのです。でもいざナンピンするとなると,「それじゃいくらでナンピンすれば良いのか」という話になります。当たり前ですが,ナンピンした後もっと価格が下がってしまい,結果として損をする可能性もあるのです。
※手っ取り早く結論だけを知りたい方は,以後を読み飛ばして「まとめ」をご覧ください。
知りたいこと
- 初回の買値から何パーセント価格が下がったら,ナンピンすべきか
- ナンピン後,株式の保有期間は短くなることが期待できる。どれくらい短くなるのか
約束事。
- ナンピンの回数は1回とする
- ナンピンの株数は初回の取得株数と同数とする
- 分析対象にする銘柄の相関係数は0.97以上
ほか,期間や銘柄の抽出方法は「前回のシミュレーション」と同様にしました。
結果(1)―買付け後の値下げ率―
<説明>買った株の価格が瞬間的に下がるとき,いくらまで下がるのか調べることにしました。ナンピンするには,価格が下がっていなければいけないわけですが,買注文を出すにはその下がった価格を予想しておかなければならないのです。
「4%程度下がることが多い」ということが分かりました。
結果(2)―ナンピンによる株式の保有期間―
<説明>売却後の利益を2%,3%,5%にしたとき,各々のナンピン価格で株式の保有期間がどう変化するか調べました。保有期間の平均値と標準偏差を図にしました。初回買付け後の株価の平均値下げ率は4%程度であることが分かっているので,ナンピン時の価格は-4%を中心に-9%~0%(1%刻み)とすることにしました。
ここでひとつ,お断りしておかなければなりません。今回は標準偏差を算出してみましたが,本当に標準偏差で良いのか(何であれば良いのか)十分に調査できていません。考え方は正しいと思っていますが,いまの私の能力ではあまり自信がありません。
- 利益2%の場合。-3%でナンピンするのが最適。株式の平均保有期間を4日短縮することができる。谷の幅は狭く,-3%以外でナンピンした場合は有益な効果が見られない
- 利益3%の場合。-7%でナンピンするのが最適。株式の平均保有期間を7日短縮することができる(平均値の図を見ると-1%が良さそうに見えますが標準偏差が高く,期間のばらつきが大きい)。ただし買値から価格が7%下がることは,あまりありません。「ナンピンしやすさ」を考慮して,-4%でナンピンするのが良いとします
- 利益5%の場合。-6%でナンピンするのが最適。株式の保有期間を29日短縮することができる。ただし利益5%の場合は参考値とします。利益5%では欲張りすぎです。運用そのものに失敗する可能性が高いことが分かっています
まとめ
分析の結果,株価が3%から4%下がったらナンピンするのが良さそうです。中間を取って「買値から3.5%価格が下がったらナンピンする」としましょう。
求める利益によって,ナンピンの価格は変わるのですが,利益3%で売りたいと思っていたとしても,状況によって価格を少し下げて売りたくなるかもしれません。どっちに転んでも大丈夫なように3.5%にします。