2007-04-08  年間売上1110万円,2次元配信型アルゴリズム・アフィリエイト

昨年1年間の楽天アフィリエイトの売上を報告します。アフィリエイトって最近あんまり話題にしていませんでしたが,水面下では劇的に技術開発が進んでいます。この度,大きく売上を伸ばすことができたのでその秘訣をお話します。

長文ですので,興味のある人だけご覧ください。

楽天アフィリエイト2006年4月-2007年3月の売上

楽天アフィリエイト2006年4月-2007年3月の売上

<画像の説明>1年間の売上を図にしました。2006年4月から2007年3月の売上は約1,110万円となり,ついに1,000万円の壁を突破することができました。

「ずいぶん儲かっているな」と思った人がいるかもしれません。以下,お断りを少々。この手の「儲かったよ」という話を鵜呑みにしてはいけません。

まず売上=利益ではありません。利益は売上の約0.75%です。1,110万円の売上があっても,利益は8万円程度なのです。楽天アフィリエイトの場合,実際にもらえるのは楽天ポイントです。現金ではありません。

以下は話半分にどうぞ。

2次元配信型アルゴリズム・アフィリエイト

今回,収益を伸ばすきっかけとなったのは,独自に開発したシステムにあります。2次元配信型アルゴリズム・アフィリエイトを導入したからなのです。

「2次元?アルゴリズム?いったい何なの?」と思った人がいると思います。おおよその想像が付く人もいるでしょうし,さっぱり分からない人もいると思います。まずn次元配信の特徴を簡単に説明しましょう。なお「n次元配信」という言い方は,この文章のみの考え方です。一般的な言い方ではないし,他人には通じないので気をつけてください。

0次元配信。固定された広告です。ページの中に広告バナーがあって,いつだれが開いても同じ広告が配信される場合を指します。普通にアフィリエイトASPを利用するとこの方式になることが多いようです。

1次元配信。あらかじめ設定した複数の広告が同じ領域に交互に配信されます。いわゆる「ローテーション配信」が該当します。

2次元配信。1次元配信よりもさらに配信する広告の候補が多く,状況に応じてきめ細かく,配信する広告を選択します。「どの広告をどうやって選ぶか」はアルゴリズム(処理手順とデータ)によって決まります。だから「アルゴリズム・アフィリエイト」という名前なのです。

時間軸に対する2次元配信

「1次元配信の進化版が2次元配信だということは分かったけれど,もう1次元追加するって何を追加するの?」と思ったのではないでしょうか。考慮する要因はいろいろと考えられるのです。

今回は時刻要因を考慮することにしました。テレビのコマーシャルの種類って,朝と夜ではぜんぜん違うと思いませんか。あれと同じことをWEB広告で,しかも自家製でやってしまおうというものなのです。

2次元配信型アルゴリズム・アフィリエイトの原理はとても単純です。「縦軸に広告の種類,横軸に時刻」という表を用意し,時刻ごとに広告のクリック率を集計します。そしてクリック率の高い広告の表示頻度を高くします。クリック率の低い広告の表示頻度を低くします。これだけです。

でもまだピンと来ない人がいるかもしれません。効果が分かるような図をご用意しました。

合成広告の発見

広告A

<画像の説明>この図は広告Aの成績を表しています。図の見方を説明しましょう。円周は時間軸です。1周で24時間を表します。「24時制のアナログ時計」だとお考えください。実線で囲まれた領域の面積が,広告の成績となるわけです。

広告Aはかなり成績が良いです。どの時刻においてもだいたいクリック率が3%弱あります。

広告B 広告C 広告D

<画像の説明>今度は別の3種類の広告です。これらの広告には,成績の良い時間帯と成績の悪い時間帯が存在します。広告Bは朝から夜に掛けての成績が良いです。広告Cは深夜から早朝に掛けての成績が良いです。広告Dは深夜の成績が良いです。

普通にアフィリエイトをやっている人は,死角というか無駄があることに気づいていないのです。だから売上が伸びないのです。2次元配信型アルゴリズム・アフィリエイトは,成績の悪い時間帯における広告配信を抑制します。

広告B+C+D

<画像の説明>広告B,広告C,広告Dの時刻ごとの配信頻度を修正して,全体の成績を上げることにしました。こうしてできた広告B+C+Dを,合成広告と呼ぶことにしましょう。広告B+C+Dの成績は広告Aよりも劣ります。それでも単体で配信するよりははるかにマシです。

今後の展望

2次元配信型アルゴリズム・アフィリエイトの考え方は,難しいものではありません。それなのに対応しているASPは存在しないはずです。なぜなのでしょうか。

私は手がけてみて,すぐに気づきました。元となる情報量が多すぎるのです。単純に作ると,配信頻度を計算するときに計算機資源をあっという間に使い果たしてしまいます。私は情報の特性をよく調べて,影響しない情報を取り除くことで2次元配信を実現しました。

いま3次元配信型の準備をしています。2次元よりもさらに分析の精度が細かいです。ただし要因を増やしたからといって本当に効果があるのかというと,何も分かっていません。

次元数と効果は,「ヘ」の字のような特性をしているのではないかと考えています。次元数を一定数以上に増やすと,かえって成績が悪くなる気がするのです。いずれにしても調べてみなければ分かりません。世の中,謎だらけなのです。