2012-07-31 さよならシャープ特集―国内メーカーがロボット掃除機を作らなかった理由―
さよならシャープ特集。この企画は,消滅が危ぶまれているシャープ株式会社の商品をネタにします。
今回のお話は,第2弾です。(第1弾はmixi出張所でお話ししました。)
第2弾は,お掃除ロボット・ココロボのお話です。ココロボは,簡単に言うと,iRobot社のお掃除ロボット「ルンバ」の紛い物です。
ココロボの特徴は,なんと会話できるのです(びっくりマーク)。掃除ロボットと話して,何の得になるのかさっぱり分からないのです。しかし,意味のない機能で話題をさらおうとする姿勢に,私は,激しく心を奪われました。
ココロボを自分で買ったわけではありませんが,家電量販店でたびたび調査しておりますので,様子をお話しましょう。
音声を認識しない
ココロボの特徴は,音声を認識して掃除を始めたり,簡単な挨拶をしたりすることです。
ところが,困ったことに,店頭で話しかけても反応してくれることは稀でした(まったく反応しないわけではありません)。私は,周りの目など気にせず,ココロボに向かって「キレイにして」「キレイにして」と何度も話し掛けたのですが,なかなか言うことを聞いてくれなかったのです。
一般家庭の室内と店頭では,声の響き方がまったく違うでしょうから,音響特性が合わなかったのかもしれません。
そもそも,あの筐体,マイクがどこにあるのか分からないんですよね。
掃除の性能が低いらしい
家電量販店では,お掃除ロボットを四角い台の上に置いて展示しています。お掃除ロボットは,台の上で忙しく動き回っています。
さて,展示物の近くには,たいていダミーのゴミが置かれています。紙切れ,綿,BB弾(固形物のゴミの例でしょうか)が用意されていて,ばら撒けるようになっていたのです。
ココロボは,紙切れのゴミが苦手なようでした。何度,ゴミの上を通過しても,紙切れを取ることができないようなのです。同じゴミを,ルンバはきちんと収集していました。
シャープは,メカトロニクス製品が得意ではない気がします。掃除ロボットって,きちんとしたものを作るのは難しいと思うんですよね。
センサーで状況を読み取って,コンピュータで判断して,掃除計画を立てて,ゴミを収集するわけです。バッテリー容量の制約もありますので,それらを加味して部屋を掃除するのは,難しいと思います。
充電スタンドに戻らない
ルンバは,内蔵電池が足りなくなると,自動的に充電スタンドに戻るそうです。充電が必要な頃合になると,自分で充電しに行くわけです。
ココロボは,自力では戻れずに,見当違いな場所で電池切れになっていることが多いように見えました。(冒頭で,お話しましたが,私は家電量販店でたびたびココロボを観察しています。)
さらには,どこかのいたずらっ子の仕業なのか,ココロボがひっくり返されたまま,電池切れになっていたこともありました。ライバルからの,妨害工作だったのかもしれません。
国内メーカーがロボット掃除機を作らなかった理由
私は,家電の新製品が好きです。新しいものには,何かしら発見があるからなのです。
新製品が展示されるときは,稀にメーカーの人が助っ人として現れることがあります。
私は,過去に,三洋電機の新しい掃除機が発売されたとき,技術担当者らしき人に,なぜロボット掃除機を作らないのか,質問したことがあります。
そのときの答えは,安全性を重視しているからだそうです。
ロボットが部屋を勝手に動き回って,万一,人が躓いて転んだら危ないからだそうです。
事故とその責任を避けたいがために,ビジネスチャンスを逃していたわけですね。
似ような事例では,デジタルオーディオプレーヤーもそうですね。技術的には可能でも,既得権に配慮するがために,国内の大手メーカーは,なかなか発売することができませんでした。
私は,いま,タブーとして扱われているモノに,商機があると考えています。
「これは危ない」「これをしたらいけない」「これをすれば,だれかを怒らせる」ようなものが,売れるんじゃないかなと思うのです。
おやおや,お掃除ロボットの話から,ずいぶんと離れてしまいましたね。新製品を観察すると,意外な発見があるものです。みなさまにも,お勧めいたします。