2014-12-07  市内映画館―亀田興毅,後部座席の攻防―

某日,市内映画館を調査してきました。その日,調査した映画館は,平均年齢が比較的低めです。低いと言っても,平均年齢55歳くらいですけれどね。

映画館って,平均年齢70歳なんてところも珍しくありません。墓場みたいな所と比べたら,その映画館は,まだ,「ヤングの社交場」だと言えるのです。

小便臭い便所

私は,映画館にいると,どういうわけか飲み物を飲みたくなります。館内の空気が乾いているのか,気分の問題なのか,お茶やココア飲料などを無性に欲するのでございます。

その日も,私は,映画館に入るやいなや,すぐに緑茶を買って飲んでおりました。そのせいか,しばらくしないうちに小用を催し,便所に行くことになりました。

便所には,熟れた小便の臭いが充満していました。

映画館の便所の小便器は,独特の配置をしていました。狭い場所なのに凹型に,取り囲むように小便器が並んでいたのです。おそらく,便器の数を増やしたかったからなのでしょう。

私は,小用が済んだので,水を流そうと思い,フラッシュバルブのボタンを押しました。ところが,水は,ちょろちょろとしか流れませんでした。装置の故障なのか,節水のため意図的に水量が絞られていたのか。

道理で,ずいぶんと小便臭い便所だったわけです。

亀田興毅似の少女

私は,場内へ戻ることにしました。

場内への出入り口は,スクリーンの前方と後方の2か所があり, ほとんどの人は,後方の出入り口を利用します。

私は,前方の出入口が半開きになっていることに気づきました。「閉め忘れかな」と思いながら,ドアに近づいてみると,スクリーンの真ん前の座席に,ぽつんと座っている少女の姿が見えました。

その少女は,40代半ばくらい。ストライプ柄のシャツの上に,黒のダウンジャケットを羽織っていました。外観は,亀田興毅に似ているようでした。

このような映画館で,素直に映画鑑賞している人などいません。

亀田興毅は,幼児が小便をするときのようにズボンとパンツを足元までズリ下げ,ひとり遊びに耽っているようでした。

そのドアは,外野に見せつけるために,亀田興毅がわざと開けっ放しにしたものだったのです。

状況をさらに観察してみると,亀田興毅の左斜め後ろの座席には,50代前半の太目おやじが身を乗り出しており,亀田興毅をのぞき見ているようでした。

後部座席の攻防

亀田興毅は,その50代太目おやじが気に入らないらしく,前部座席から後部座席へ移りました。しかし,50代太目おやじもすぐに後を追いかけ,また少し離れた座席に座り,亀田興毅を観察するありさま。

物事が始まりもしなければ,終わることもない,膠着状態が続いていたのです。

年下好きの50代は,惨めなものです。売れ行きが芳しくないわりに,まだ体はそこそこ元気なので,まるで煩い小蠅のように纏わり付いてきて,迷惑でどうしようもないのです。

同年代同士でつるんでいる人たちは,平和そのものなのですが。

そうこうしているうちに,私は,また飲み物が飲みたくなったので,場内から出ることにしました。

便器の壁

私は,自販機でココアを買い,おさんぽ仲間のひとりと雑談していました。暗闇の中では気づかなかったのですが,知り合いも来ていたのです。

話が弾んでいる最中,さきほどの亀田興毅が現れました。亀田興毅は,しばらく通路をウロウロしたかと思ったら,便所に入って行きました。

私は,ちょうどココアを飲み終えたところだったので,便所を調査してみることにしました。

亀田興毅は,小便器の前に立っていました。こちらを気にする素振りを見せなかったので,ご活躍を拝見しようとしたのですが,まさに便器にぶちまけている真っ最中でございました。

事後に水を流すものの,水の流れはやはり不足でした。

こうして放出物は,便器の壁に,いつまでもへばりついていたのでございます。