2017-11-18  Qrio Smart Tag―スマートフォンの限界―

某日,市内某家電量販店で「Qrio Smart Tag」を買ってきました。

https://qrio.me/

予想どおり無用の長物だった

Qrio Smart Tagは,Bluetooh接続のビーコン信号発信タグです。

タグとスマートフォンを関連付けておいて,タグとスマートフォンが離れたときスマートフォンに通知したり,タグとスマートフォンが近距離にあることを確認したりできます。

普通は,忘れ物の防止に使われるようです。

私は,技術的に興味があったので買ってみました。

私は,どこかに物を置き忘れたり,物を紛失したりするなんてことを滅多にしない人間です。最初から予想はしていたのですが,試しに使ってみたらやっぱり無用の長物でしたね。

タグの大きさは,ブルボン「アルフォート」ほどのビスケット大です。長物なんて言うと語弊があるような気もしますが,役に立たないものであることには変わりありません。

タグが迷子になったときの動作

Bluetooh接続の機器というと,普通は最初にホスト機とペアリングします。以降は,ペアリング済みの機器同士が通信します。ペアリングしない機器とは通信しません。

Qrio Smart Tagも,最初にスマートフォンにタグをペアリングしてから使うのですが,そうすると,タグを紛失したときタグとスマートフォン本体が通信できる距離に存在しないと,タグを見つけることができないように思えます。

これでは,忘れ物を探す用途にはあまり役に立たないというわけで,ペアリングしていないホスト機であっても近距離に存在した場合は,そのホスト機に接続して,データセンタのサーバにタグの位置(正確には,近くにあったホスト機の緯度,経度)を登録するようです。

このような機構は,「クラウドGPS」と呼ばれているようです。(この呼称は商標かもしれません。)

さて,私が確かめたかったのは,このクラウドGPSの動作だったのです。残念ながらまだ動作確認できていません。

クラウドGPSが機能しない理由

以下は,身勝手な憶測なので注意してください。

クラウドGPSが陽の目を見ない理由は,以下の条件をすべて満たさなければクラウドGPSが機能しないからだと思います。

  • (A) タグの近くに第三者のQrio Smart Tag使用者がいなければならない
  • (B) その第三者のスマートフォン上でQrio Smart Tagアプリが起動していなければならない(アプリは常駐モノではないそうなので,常時起動しているわけではない)
  • (C) タグからのビーコン信号を偶然,受信しなければならない(ビーコンの送信間隔は不明ですが, 30分おきくらいなのではないかと。タグの電池容量の制約)

仮にクラウドGPSが成功する確率を「(A)×(B)×(C)」だとします。(A)を5%,(B)を10%,(C)を10%にすると,(A)×(B)×(C)は0.05%であり,鉄樹開花どころの騒ぎではありません。まったく使い物になりません。

致命的なのは,スマートフォンは電源に余裕がないという宿命です。

AC電源に接続されたWindows PCであれば,常駐して動作するソフトウェアが少々増えても利用者は不満を感じないでしょうが,スマートフォンでは露骨に稼働時間が短くなってしまいます。

定期的に通信するアプリケーションであればなおさらです。

もし,スマートフォンを外部電源に接続して稼動させるなら, (B)を100%にすることもできるのでしょうが,そんな使い方をしている人は滅多にいません。

このあたりが,スマートフォンを主軸としたソリューションの限界なのでしょう。