2012-12-15 某河川敷―生霊,死に場所を求めて―
※2012年9月の調査報告です。
午前9時の調査
某日,市内某河川敷を調査してきました。
時刻は,午前9時すぎ。
「朝の9時?そんな時間に,河川敷へ何しに行ったの?お洗濯?」と思った方が,大半なのではないかと思います。
理由は,昼になってしまうと,暑すぎて居られないから。
河川敷の醍醐味と言えば,半裸になって日焼けしたり,周囲を探検したりすることです。
河川敷は,一面コンクリートで出来ています。熱が籠ってしまい,とっても暑いのです。
私は,調査員なので,裸で日焼けしたり,歩き回ったりするわけにはいきません。服を着たままで居られるのは,せいぜい午前中の時間帯だけなのです。
妖怪に遭遇
私は,河川敷へ向かうために,堤防の上を歩いておりました。半袖とハーフパンツ,サンダル履きという出で立ちでした。
辺りには,小鳥たちの囀りが,響き渡っていました。
太陽は穏やかに照っていて,暖かな風が吹いていました。
「静かな湖畔の森の影から」という歌がありますが,まさに,そんな状況だったのです。
ところが,そんな静かな湖畔の森の影から,突然,妖怪が現れました。
朝だから,まだだれも来ていないと安心していたのに,作戦大失敗だったのです。
妖怪は,運動着を着ていました。体は真っ黒に日焼けしており,白目だけがギョロギョロとしていました。
最初は,ジョギングしている人なのかなと思ったのですが,こんな辺鄙な場所を走る人は,滅多にいません。
私は,妖怪を無視して,堤防から河川敷に下りました。周囲の雑木林を,調査することにしました。
不可抗力の範疇
私が,雑木林を調査していると,さきほどの妖怪がこちらへ向かって来るのが分かりました。
妖怪の足取りは,徐々に勢いを増しているようでした。
いつの間にか,小走りするほどの速さになっていました。ついには,こちらへ突進してきました。
私は,虫を払うかのように,妖怪の手を払いのけてしまいました。
普段なら,そういう手荒な真似はしないんだけれど(だって,乱暴すぎるじゃない?)もう,そのときは,不可抗力の範疇。条件反射で手が出てしまったものだから,仕方がありません。
その後,私は,雑木林から脱出して,急いで帰ることにしました。
死に場所を求めて
帰り道,すでに気温は,30℃近くになっていたのかもしれません。
まだ午前10時半くらいでしたが,河川敷は,モヤモヤとした熱気に包まれようとしていました。
私は,さきほどの妖怪が,水を持っていなかったことに気づきました。
「あの人,朝から晩まで河川敷をさ迷っているつもりなのかしら?熱中症で死ぬわよ。それとも,本当に,死に場所を探していたのかしら?」と,いつもより,意地悪に考えてしまいました。
出現の仕方が突然で,なんだか不自然だったし,時折,瞬間移動もしていましたから,もしかしたら,「生霊」だったのかもしれません。